2020/06/11 10:52

いつ使うのか分からないけれど、発泡インクなんて面白そうなものは買わずにはいられなかった。ただ使う機会などほぼ無くインク棚の片隅にジッとしている。

今回新作デザイン『TOY OR HOY』の版下が完成した時、片隅にいる発泡インクを思い出し、これなら、このデザインならば、行ける。そう思い立ち発泡インクを使って作ってみたのだ。

他の一般的なインクに比べて粒子が粗く、目の細かすぎるシルクスクリーンには適さない様だ。だが既に作ってしまった版は120メッシュ。メーカーの推奨は80メッシュ、おいw。まあいい、刷ってみよう。確かに刷っていて透りが悪い感じがするが別に120メッシュでも刷る事はできた。ただ問題は熱処理後にモッコリと膨らむ(発泡する)かって事だ。

インクが自然乾燥で乾いた後、当て布をして低温でベーキング、あまり力を加えず、そっと。温度の調整など微調整しながら試していく。

一箇所約1〜2分で微妙な膨らみが当て布の上からでも感じられる、おお、膨らんだじゃないか。ただし、一気に全体をベーキングできる機械などなく、1〜2分を数回、膨らんだ場所とまだベーキングが足りずに膨らまない部分に若干の色の差があることに気づく、それらを少しずつ確認しながら、ベーキングしては確認、ベーキングしては確認、、、一枚に何分かかるんだ、、、。これは大量生産は無理だなと、やっぱり普通のインクにすればよかったなと、そもそもデザインがもっこりしたTシャツなんて買うやつ居るのかよ、、いやいや、でもやるんだよ!などと葛藤を繰り返しながら出来上がった。

今回の発泡インクを使用した「TOY OR HOY」上述したように手間暇がかかっております。

その手間暇を考えて買ってくれると嬉しい。嬉しい?いやいや、追加で刷りたくないんだけど、でもやるしかないか、、、この報われない愛の形。

今後このデザインを発泡インクでやっていくかどうかは、売れ行き次第ですがもし発泡インクじゃなく通常のインクで再販されてもそっとしておいてください。

画像のようにこんな感じで膨らんでます。

このデザイン、今はコロナウイルスの影響で渡航が出来ないけれど毎年のように旅行に行っていたタイ、タイに行くと必ず寄るナイトマーケット。雑多な陳列、いろんな食べ物の匂い、いろいろな人種、あのカオス感がとても好きで中でもいつも注目してみるのが雑多なマーケットの端っこ、テントも構えずに道に布などひいてそこに雑に並べられたおもちゃや人形を売っているところ。世界中の人気アニメやキャラクターなどのパチモンが集結していてその雑多な陳列はそのまま美術館に飾ればもはや現代アートのようではないか。日本や欧米での人気者のキャラクターはアジア各地で雑にコピーされ大量に違法に生産され、挙句ナイトマーケットの片隅で5個100バーツで消費されていくのだ。まさに資本主義の最終地点。異国の雑踏のなかでそんなことを思うのである。

その陳列を偶然に写真に収めていたのがDJユニットHOYKRAENGSPLASHESのヘクトパスカル久保氏、最初期から毎年タイに一緒に旅行していてタイで散々いろんな遊びを一緒にやってきた。HOYKRAENGSPLASHESデザイン出しの資料としてLINEの共有アルバムに入れてあったものを使用。バックプリントも久保氏お気に入りのよくわからない動物がモチーフの巨大なベンチだ。なんなんだこの動物は。


なんなんだこの顔の表情は、、。タイはいつでも僕の理解の狭さを痛感させてくれる。そこが良い。

今後もこのように僕の理解を超えたところにある何か創作意欲をくすぐってくるものをなんとか形にして、作品にしていきたいと思う。

それが報われずとも!


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